Prime95 で確かめる、そのパソコンが本当に安定しているか
バージョン 30.19b20
要約
Prime95 は GIMPS の素数探索プロジェクトが配る公式の負荷ツールだ。Small FFTs はコアとキャッシュを限界まで追い込み、Large FFTs はメモリーコントローラーに比重を移す。持ち運べる形式で複数の OS に対応し、オーバークロックや冷却、電源の確認に共通のものさしになる。
おすすめ- ソフト名
- Prime95
- バージョン
- 30.19b20
- 料金
- 無料
- オープンソース
- 非オープンソース
- OS
- WindowsmacOSLinuxFreeBSD
- 更新日時
- 2026-10-06 23:15
数学プロジェクトの副業が、共通のものさしになった
Prime95 の本業は、知ると少し驚く。メルセンヌ素数の分散探索である GIMPS の公式ソフトであり、二十年以上にわたってその探索を支えてきた。数学者が世界記録を何度も塗り替えてこられたのは、このプログラムがあったからだ。ただ、名前が広がったきっかけは副業のほうだった。素数判定の計算は、プロセッサーに与えられる最も厳しい負荷に近い。だからオーバークロックを試す人も、組み上げたばかりの個体を確かめる人も、同じ基準にたどり着く。Prime95 を完走できるなら、その個体は安定していると見なせる。この評判は狙って作られたものではない。そこが信頼される理由でもある。

なぜ、この計算だけがこれほど堪えるのか
コードに特別な仕掛けはない。要点は、予測も省略もできない計算で浮動小数点の演算器を休みなく動かし続けることにある。ゲーム、動画の書き出し、書庫の圧縮。どれも途中で必ず止まる。保存先を待ち、メモリーを待ち、人の操作を待つ。素数の探索は待たない。ただ計算し続け、その分だけ発熱と消費電流が積み上がる。冷却と電源が答えを出すまで、負荷は下がらない。だから同じ一回の実行で、余裕のないオーバークロックも、もともと力不足だった冷却装置も、見た目は良いのに空気が動かない筐体も、まとめて姿を現す。
三つのモードは、三つの別の問い
Torture Test にはいくつかの定番モードがあり、互いに代用できない。Small FFTs は作業データをキャッシュに収めるので、負荷はコアとその論理回路に集中する。オーバークロックが持つかどうかを知りたいときは、ここから始める。Large FFTs はデータ量がキャッシュを超え、メモリーコントローラーとメモリー自体に比重が移る。Blend は両方を混ぜた全体確認になる。組み上げた直後は、Small FFTs を三十分、続けて Blend を一時間、という順番を取る人が多い。冷却装置が熱を受け止められるか、電源が電圧を保てるか、筐体の空気の流れが本当に必要な場所へ届いているか。その九十分で、すべてがはっきりする。
エラーが出るのは、情報が出たということ
実行中に丸め誤差の報告が出る。あるいはワーカーが途中で止まり、戻ってこない。どちらも、負荷がかかった状態で自分の計算を再現できない箇所が系の中にある、という意味を持つ。そこからは、一度に一つの条件だけを変えて絞り込めばよい。別の場合と比べてみてほしい。何週間も問題なく動いていたパソコンが、大事な作業の途中で突然止まり、手がかりを何も残さない。あの状況より、意図して一時間追い込むほうがはるかに安い。
実用の細部
Prime95 はインストール不要の形式で配られる。展開すればそのまま動き、システムに何かを足すこともない。初回の起動では負荷テストだけを選び、分散計算の側は使わない設定にできる。ハードウェアを確かめたい人の大半は、そうする。Windows 以外にも macOS、Linux、FreeBSD 向けの版があり、家の中に違う環境が混ざっていても同じものさしで測れる。更新はゆっくりで、現在の 30.19b20 は 2024 年の半ばのものだ。放置ではない。負荷の内容がとうに固まっているということで、古い版でも測れる対象は変わらない。実行中は温度を見ておきたい。サーマル保護が働くのは正常な反応で、故障ではない。ましてや限界の電圧で何日も回し続ける必要はない。
もう一つ、測り方そのものについて。負荷テストは短時間で白黒をつける道具ではない。三十分で落ちる個体は早く分かるが、三十分を通った個体が安全だとは限らない。逆に、一時間走らせて何も出なかったなら、その構成で日常的に起きる範囲の不安定さはかなり潰せたと考えてよい。だからこそ、組み上げた直後と、冷却まわりを触った直後と、設定を変えた直後に、同じ手順を淡々と繰り返す。回数を重ねるほど、結果の意味がはっきりしてくる。
Prime95 の立場は、飾りのなさから来ている。余計な機能も、料金もなく、厳しい負荷には筋の通った理由がある。プロセッサーが安定しているかどうかは、意見では決まらない。Small FFTs を一巡できるかで決まる。その言葉が今も通るのは、プログラムがその期待に毎回応えてくれるからだ。