独自のエンジンを保つ Pale Moon:XUL 拡張と単一プロセスを残した理由
要約
Pale Moon は独自の Goanna エンジンを積む独立系ブラウザです。計測を行わず、画面まで作り変えられる XUL 拡張を残しています。
- ソフト名
- Pale Moon
- バージョン
- 34.3.2
- 料金
- 無料
- オープンソース
- オープンソース
- OS
- WindowsmacOSLinux
- 更新日時
- 2026-10-06 10:01
大企業が決めないブラウザ
よく使われるブラウザは似てきました。同じ画面の考え方、同じアカウントの仕組み、利用者の代わりに決められる同じ方向。Pale Moon は逆の道を進みます。定評あるオープンソースのブラウザから分かれて生まれ、いまは Goanna という、プラットフォーム企業ではなくこの企画自身が手入れする描画の仕組みの上で動いています。広告も、利用状況の送信も、データの収集もなく、既定の検索先は DuckDuckGo です。

ここでいう「自分で決める」には具体的な中身があります。何を描くか、何を送り返すか、拡張がどこまで触れるか。この三つの問いへの答えを、どこか別の場所の製品会議ではなく、この企画の内側で決めています。
XUL 拡張:古いが自由
Firefox の流れが新しい拡張の仕組みに移ったとき、深く作り込む種類の拡張が一斉に動かなくなりました。古典的な XUL の仕組みを残していることが、このブラウザが存在する主な理由の一つです。拡張は中核の振る舞いを変更し、定義し直すことさえでき、画面の配置からその下の論理まで手を入れられます。外観を変える仕組みも一式そろっています。
仕組みは単一のプロセスで動くため、結果として非常に軽くなります。タスクの一覧を開いても、同じプログラムの複製が十数個メモリを奪い合っている光景はありません。もともと忙しい機械では、この差は測るものではなく体感するものです。
独自のエンジンを保つ代価
エンジンを単独で手入れするのは楽ではありません。広く使われる描画の中核が頁の作り手の期待を決めているため、Chromium の一族を前提に作られた頁には追加の対応が要ります。企画もそれを率直に認め、そうした場合に備えて二つ目のブラウザを用意しておくよう勧めています。この助言は、弱さの告白ではなく本気で受け止める価値があります。
立ち止まってもいません。2026 年の一年を通じて 34 の系列は安全性の点検と標準への追随を続け、34.3.2 の更新では通信の安全性を担う庫の新しい版と一連の修正が入り、CSS の新しい機能や ES2024 という言語の版への対応も順次加わっています。
どんな人に向くか
第一に、プライバシーを優先する人。ここでは切るべきものがありません。送信の仕組みがそもそも存在しないからです。第二に、ソフトを調整するのが好きな人。拡張の仕組みは作業場であって、許可済みの道具が並ぶ棚ではありません。第三に、決められることに疲れた人。既定値は交渉の対象ではありません。
逆に、どの頁も考えずに開けることを望む人には向きません。それは実際の代価であり、主流の外にあるブラウザが等しく払う代価でもあります。網は多数派のために書かれ、少数派は端のほうで自分で合わせるしかありません。
加えて、更新の速さについても理解しておく必要があります。中核を自前で持つということは、新しい標準が決まってから届くまでの間隔が、他所より長くなる場合があるということです。急ぐ用途と、そうでない用途を分けて考えるのが現実的です。
買い物ではなく、長く付き合う相手として見る
大型の提供元が作るブラウザは、利用者が決められない予定に沿って変わります。その変化は平均的な人にとっておおむね妥当なものです。仕組みの外で作られるブラウザは変化が遅く、先も読みにくいのですが、利用者が何年も前に選んだ形を保つ傾向があります。どちらが良いかは、同じままでいてほしいものをどれだけ当てにしているかでまったく変わります。
特定の拡張が特定の仕事を担っている作業用の機械なら、二つ目の形はその摩擦に見合います。今週網が送ってくるものを何でも開かねばならない機械なら見合いませんし、両方を並べて使うことは少しも恥ずかしいことではありません。
もう一つ、先に考えておきたいことがあります。このブラウザの歩みは少数の手入れする人が決めています。つまり四半期ごとの大きな機能追加はなく、流行している新しい書き方に追いつくまで少し待つこともあります。流行ではなく道具として見ていれば、期待が外れることはありません。
価値は速さではなく、選択の完全さにあります。仕組みを自分たちで育て、拡張は自由に書き換えられ、計測はゼロ。古い車の変速機に似ていて、慣れるまで時間はかかりますが、ハンドルは完全に自分の手元にあります。