Handy 0.10、手持ちの録音も文字にでき、机の上の聞き取りはほぼ仕上がった

要約

マイクに向かって話せば入力欄に文字が入る、というのがこれまでの姿でした。0.10 では録っておいた音声も文字にでき、言語もモデルが自分で見分けます。作者は機能はほぼ出そろったと書き、今後は安定に力を入れるとしています。

おすすめ
ソフト名
Handy
バージョン
0.10
料金
無料
オープンソース
オープンソース
OS
WindowsmacOSLinux
公式サイト
https://handy.computer/
更新日時
2026-11-06 23:00
話す速さは打つ速さのおよそ三倍だ。Handy がすることは一つだけで、話した内容を、カーソルがある入力欄の文字に変える。

無料で公開された、机の上で動く音声から文字への道具で、すべてをその機械の中で処理する。2026 年 11 月 2 日に 0.10 になり、公開された説明はかなり率直だ。この版で機能はほぼ出そろったので、これからは不具合を直し、安定させることに力を入れ、新しい機能は積み増さないという。毎日使える状態にある道具にとって、この一文はどんな機能の一覧より重い。

0.10 が埋めた三つ

一つ目は録音済みの音声を文字にすることだ。これまではその場で話す口述が中心で、マイクに向かって話せば文字になった。いまは録っておいた音声のファイルを入れれば文字にでき、結果は履歴にも残る。二つ目は言語の自動判別で、対応するすべてのモデルが対象になり、そのたびに言語を手で指定する必要がなくなった。三つ目は使い勝手の側で、新しくなった導入の流れと、画面の作り直しの着手が入っている。

変更の一覧には、目立たないが日々の使い心地を左右する項目もある。文字にする処理は独立した作業の流れに移され、長い音声は声のある区間で区切って扱われる。自分の言葉は、文字にする仕組みが持つ語の一覧を通して渡されるようになり、固有名詞や人名、専門の言葉の扱いが安定する。自前の後処理の窓口は新しい形式の伝文に対応した。貼り付けるときに全体の流れを止めていた問題も直った。これらを合わせたものが、ほぼ仕上がったという言葉の実際の中身だ。

最初の画面と文字にする状態
最初の画面と文字にする状態

使ったときの手触り

操作の作りは控えめだ。入力できる欄にカーソルを置き、割り当てたキーを押して話し、もう一度押して止める。押している間だけ話して離せば止まる形でもよい。既定の組み合わせは Ctrl と空白で、後処理付きの組み合わせが Ctrl と Shift と空白にあり、Esc で取り消す。話し終えた文字は、写すための窓が出るのではなく、いま選ばれているアプリへそのまま貼り付けられる。ブラウザでも、編集の画面でも、会話の欄でも同じだ。

文字にする前に、声の有無を見る処理が一度入り、静かな区間を除いてから本当の声だけをモデルへ渡す。この細かい作りが使い物になるかどうかを決める。話す途中の間、考える時間、水を一口飲む音が、空白の列になって残ることはない。流れはすべてその機械の中での推論で、企画側と個人情報の扱いの説明によれば、普通の文字起こしで音声や文字が管理者へ送られることはなく、ネットワークを使うのは更新の確認、モデルの取得、任意の後処理のときだけだ。

設定の中のモデルの選択
設定の中のモデルの選択

モデルという選択

本当の中身は、機械の中に置くモデルのほうにある。説明では長く二つの道が勧められてきた。Whisper と Parakeet だ。前者は Small、Medium、Turbo、Large の段に分かれ、扱える言語が広く、描画の板があれば速くなる。代わりに大きさを取られ、数百メガバイトからおよそ一・六ギガバイトまで幅がある。後者は処理装置向けに調整され、軽快に動き、言語の自動判別も備えるので、独立した描画の板がない機械に向く。0.10 からはモデルの一覧が独立したモデルの詰め合わせから配られるようになり、選ぶ画面にはこの二つの筋以外も並ぶ。中国語と日本語に向けたモデルも一覧にあり、画面には言語ごとの出来の段、速さ、大きさ、さらにそのモデルがすでに手元にあるのか、これから取得するのかまで書かれている。

だからモデル選びはいま、品書きを見るのに近い。まず自分のよく話す言語がどの段に届いているかを見て、次に大きさと速さが受け入れられるかを見て、最後に手を動かす。普通の持ち運べる機械が一台だけなら、小さくて速いと書かれた項目から始めるのが現実的だ。

土台は Tauri で、設定の画面は React と TypeScript、システムとの繋ぎ、音声の処理、推論は Rust の側にある。企画は MIT の許諾で公開され、置き場は 2025 年 2 月に作られ、開発者と共同体で支えられている。作者は説明に面白い一文を残している。いちばん強い聞き取りの道具を目指すのではなく、いちばん fork しやすいものにする、という趣旨だ。この立ち位置が、仕組みの組み立てを入り組んだ迷路にしない。何かを変えたい人が、戸口で道を失わずに済む。

割り当てたキーと後処理の作り
割り当てたキーと後処理の作り

まだ滑らかでないところ

Linux での Wayland の支えはずっと弱いところで、入力の欄に書くには外部の道具の助けがいる。置き場の説明にもそう書かれている。貼り付けの道はときどき古い写しの内容を連れてきて、確実な貼り付けという呼び方は今も試作の印が付いたままだ。macOS の二つの機能キーの組み合わせは、提供元の鍵盤でしか効かない。モデルの大きさも小さくはないので、記憶の場所が苦しい人はまず空きを作る必要がある。

もう一つ、心の準備をしておきたい。機械の中の推論の速さはその機械しだいで、押せばすぐ文字が出るわけではない。短い文に向き、考えを一気に吐き出すのに向き、手が長く鍵盤を打てない状況に向く。会議の録音を何時間分も一度に、一字一句の正確さで、という求めなら、やはり自分で読み直すことになる。

Handy の値打ちは、聞き取る正確さの高さではなく、音声を文字にすることを雲の上のサービスから手元の小さな道具に変えた点にある。登録も定額もなく、録音が外へ出ない。代わりに要るのは、モデルを載せて動かせる機械だ。
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対応OS: Windows macOS Linux