Zoo Code は助手を四つの役割に分ける
要約
地域の開発者たちが引き継いだ後継版。ひとつのエージェントを四つの固定した役割に分け、変更はすべて差分で見せてから反映し、長時間の自走には危険なコマンドへの歯止めをかける。
おすすめ- ソフト名
- Zoo Code
- バージョン
- 3.82.1
- オープンソース
- オープンソース
- OS
- WindowsmacOSLinux
- 公式サイト
- https://www.zoocode.dev
- 更新日時
- 2026-10-29 22:00
エディタの中の AI は、何でもこなす助手ではなく、役割ごとに仕事を割り振る一団になった。おそらくそれが、Zoo Code に身につけてほしい使い方だ。
エディタでモデルと一緒にコードを書く道具は、たいてい「万能の助手が一人」という形をしている。Zoo Code は別の道を取った。エージェントをいくつかの固定した役割に分け、それぞれに境界と得意な仕事の種類を持たせる。ぼんやりした万能選手に要望を説明するのではなく、まずこれを誰に渡すかを決め、それから動いてもらう。
もうひとつの顔も同じくらい重要だ。これは Roo Code のコミュニティによる後継版である。プロジェクトはもともと Roo Code のチームが保守し、のちに開発に参加していた人たちの手に渡り、同じ構造、同じ設定、同じライセンスのまま続いている。既存の利用者にとっては、これまでの設定がおおむねそのまま移せる。
AI の開発チームをエディタに収める
本体はエディタの拡張で、有効にするとサイドバーにパネルがひとつ増える。看板の仕組みは Modes、つまりモードと呼ばれ、四つの役割が最初から入っていて、それぞれ一種類の仕事に集中する。
Code は日常の既定で、新しいコードを書き、ファイルを編集し、ファイル操作を実行する。大概の思いつきの依頼はここから始めれば足りる。Architect は「まず考える」役で、込み入った変更に対してはすぐ編集に走らず、計画の文書とファイルの地図を先に出す。一行も反映される前に、考え方を確認できる。Ask はファイルに触れず、コードベースについての質問に答え、ある実装がおおよそ何をしているかを説明する。呼べば来る相談役だ。Debug は問題に狙いを定め、バグを追い、ログを足し、原因を切り分け、出どころまで辿る。

この四つ以外に、自分でモードを作れる。決まったコードレビューの手順があるチームや、規約に沿って文書をまとめて作りたい場合、専用の役割をこしらえ、名前、プロンプト、使える道具、触れてよいファイルの範囲をまとめて決めておける。そうなると「AI の開発チーム」は比喩ではなくなる。設計の役に案を出させ、コーディングの役に落とさせ、途中で問題が出たらデバッグの役に回す。分担の明確な一団を指揮するのと同じだ。

まず差分を見て、それから反映するか決める
黙ってコードを書き換えたりはしない。変更はすべて差分として示され、何が起きようとしているかをはっきり見てから、通すかどうかを決められる。よく知らないプロジェクトでは、これがモデルの賢さより重い。追えない変更は、そもそも行われなかったのとほとんど変わらない。
チェックポイントも付いている。タスクの各段階でスナップショットを残せるので、道を誤っても前の状態に戻れる。たくさんのファイルが見る影もなく書き換わっていくのを眺めるだけ、という事態にならない。この仕組みが、エージェントに任せることと、いつでも取り戻せることを結びつけている。
長い実行の中の関門
エージェントを長いあいだ放し飼いにするなら、どこかにブレーキが要る。後の版で Destructive Command Guard という仕組みが加わった。長く自律的に走っている間、危険なコマンドを自分で止め、信頼できる操作はそのまま通す。数秒おきに許可を押し続けなくて済む。任意で入れる保護の層として設計されていて、入れると安全性と気楽さの間で折り合いをつける。
権限の仕組みと一体でもある。既定では、ファイルを変えるにも、コマンドを走らせるにも、外部のサービスに繋ぐにも、どの道具の呼び出しにも頷きが要る。慣れてきたら分類ごとに自動承認を開いていけばよく、納得できる粒度で信頼を積み上げられる。コマンドラインで何ができるか、どのディレクトリに届くかも個別に区切れる。すべて開くか、すべて閉じるかの二択にはならない。

モデルは自由に選べるが、どこにお金が流れるかは知っておく
拡張そのものは無料でオープンソース。期間限定の試用ではなく、長期にわたって無料だ。ただしモデルを内蔵してはいないので、推論の提供元を繋がないと頭脳が手に入らない。ここが「購読で全部入り」という路線との最大の違いになる。
自分の API キーを持ち込む形なら、支払うのは提供元の利用分だけで、拡張は中抜きしない。繋げる提供元はかなり多く、主要な商用モデルから地域の数社まで並び、ローカルで動くモデルにも届くので、コードが社内網から一歩も出ない構成も取れる。仕事に合うモデルへいつでも乗り換えられ、一社に縛られない。
キーを一本ずつ管理したくない人のために、任意の共通の入口 Zoo Gateway も用意されている。各社のモデルをひとつの端点にまとめ、月額の購読ではなくクレジットを積んで使う形だ。これも任意で、自分でキーを管理するなら完全に無視してよい。
Roo Code からの引っ越し
既存の利用者はゼロから始めなくていい。設定は書き出して読み込めるので、自作のモード、ショートカット、モデルの設定がそのまま付いてくる。これまでの習慣はおおむね残る。リポジトリには Roo Code から Zoo Code への移行についての説明も置いてあり、一度たどれば済む。
ひとつ注意がある。これは普通の版の更新というより、移行に近い。拡張の配布上の識別子が変わったので、旧い名前で拡張を呼んでいるスクリプトやパイプラインがあれば、その部分は手作業で洗い直すことになる。
版の状況は公開の変更履歴で追える。配布の線はコミュニティ自身のペースで進んでいる。星の数がいちばん多いプロジェクトではないかもしれないが、たすき渡しとしては少なくとも一件事を証明した。必要とする人がいる限り、道具の寿命は元の作者が残るかどうかで決まらなくていい。
Zoo Code が解こうとしているのは、コードを数行補わせることではなく、エディタの中で AI に役割で分担させ、しかもいつでも取り戻せる状態にしておくことだ。役割は仕事に境界を与え、差分とチェックポイントは変更を巻き戻せるようにし、破壊的コマンドへの防護は長い自走にブレーキを与える。無料でオープンソース、特定のモデルにも縛られない。代わりに API の費用は自分持ちで、モードの使い方を理解する時間も要る。実際のプロジェクトをひとつ走らせるほうが、どんなレビューより雄弁だ。