Pieces は九か月分の仕事の流れを手元に残す
要約
速く打つ道具ではなく、覚えている道具だ。編集器、ブラウザ、端末での出来事を九か月ぶん手元に残し、MCP を通して他の AI の道具にも貸し出す。
おすすめ- ソフト名
- Pieces for Developers
- バージョン
- 5
- オープンソース
- 非オープンソース
- OS
- WindowsmacOSLinux
- 公式サイト
- https://pieces.app
- 更新日時
- 2026-10-05 00:07
Pieces が扱うのは打つ速さではなく、先週のあのコードがまだ残っているか、という問題だ。三週間前に解いた課題にまた当たって、履歴と会話と名前のない控えを探し、最後は書き直す。誰でも一度は通る道である。
Pieces for Developers はコードを書かない。覚える。断片、リンク、覚え書き、画面写真を、それが生まれた文脈ごとしまい、普通の言葉で尋ねれば差し出してくれる。
仕事の流れの土台になる道具だ。拡張は編集器、ブラウザ、共同作業の道具にまたがり、2026 年の更新でその記憶を MCP から外にも開いた。導入は 150,000 件を超え、保存された素材は百万点、文脈の結び付きは 1700 万点。中身はすべて手元の機械に残る。
柱は三本。長期記憶の仕組みが背後で動き、どの編集器を開き、どの文書を読み、どんな命令を端末で走らせたかを見て、何に取り組んでいるかを推し量る。Pieces Drive が素材を管理し、Pieces Copilot がその記録を根拠に答える。
実際はこうだ。月曜に「前回どこまでやったか」と尋ねると、ある Svelte の案件の一覧の動きを直していたと答え、関係するファイルへのリンクを添える。「火曜の夜に試したあの SQL は何だったか」と聞けば、文がそのまま戻ってくる。九か月の窓は、おおむね一つの案件の寿命に当たる。
保存された断片には、言語、札、出どころのアドレス、何をするものかの短い説明が自動で付く。編集器、ブラウザ、端末、文書から拾ったものが、検索でき、引用でき、配れる素材になる。検索は普通の言葉を受け付けるので、ファイル名を忘れていても困らない。窓の状態を扱っていたあの React hook、で見つかる。

時系列の面では日付ごとに一日をたどり直せ、意味の検索は記憶全体に一度に問い、見つけたものは文脈ごと渡せるリンクになる。
使っているのは雲の上の検索ではなく、機械の上の意味の検索だ。照会は網の通りを待たない。代わりに、機械を乗り換えるときの搬道は自分でやるし、チームで記憶を共有するには Enterprise が要る。便利さを少し譲って秘密の件にも使える、という取捨だ。
それでも全部が手元で済むわけではない。他の AI の道具に渡せるときは MCP の口を通すから、渡した先で何が起きるかはその道具次第だ。守りたい範囲を決めるのは使う人の侧だ。
手元を優先する点が、雲の上の AI の道具とのいちばんの違いだ。処理はすべて機械の上で終わり、公式の言い方は air-gapped、100% をオフラインで保存し、コードは送らないというもの。無料の範囲でも機械の上のモデルを使うので、網が切れていても動き、待ち時間もない。

これを支えるのが PiecesOS で、一式の土台になる実行の層だ。Docker が入れ物にとってそうであるのに近い。板の上の道具、ブラウザの拡張、編集器の拡張はその上で動き、機械学習の処理も道具どうしのやり取りも手元に留まる。先にこれを入れ、次に道具か拡張を入れる。macOS、Windows、Linux を覆う。
2026 年でいちばん面白い一歩は MCP だ。Pieces は MCP のサーバーを内蔵し、39 の道具を開く。全文検索、ベクトル検索、まとめて取り出し、時間での絞り込み。Cursor、Claude Desktop、VS Code、Windsurf、JetBrains など 19 の対応先から使える。VS Code で残した断片を Cursor で書きながら引き、端末で解いた問題が Claude Desktop で待っている。記憶は一つの道具に閉じず、すべての AI の道具の下に敷かれる。

Pieces Copilot は雲の上のモデルと手元の LLM を切り替えられ、自分の鍵も入れられる。文脈の窓は「いまの会話だけ」から「案件のリポジトリ全体」まで伸ばせ、答えの支えは長期の記憶だ。目の前の案件は、それが育つのを見てきたものだから、一般の訓練データより話が具体的になる。
無料の範囲は試供品ではなく、そのまま使える。断片は無制限、手元の長期記憶、機械の上のモデル、すべての拡張が付いて代金はかからない。Pro は Claude や GPT の系の上位モデル、暗号化した同期、優先の支援が加わり、月 18 ドル 99 セント。Enterprise はチームで共有する記憶、SOC 2 への適合、社内への設置、管理の権限が加わり、価格は営業との相談になる。コードを外に出せないチームにとって、これはほぼ唯一の選びやすい道だ。
発想は AI の道具の中でも変わっている。他の道具は書く側に走り、これは書いたものを覚える側に立つ。個人なら無料の範囲で足りる。機械全体の第二の脳として扱い、一週間ぶん断片をためて、意味の検索を一度試せば、もう戻れない。