Fish Audio は十秒の音声で声を作り、無料枠は毎月 8000 クレジット

要約

登録にカードは要らず、無料枠は毎月 8000 クレジット。十秒の音声を上げれば使える声が手に入り、合成時には 60 種類を超える感情タグで語り口を調整できる。

おすすめ
ソフト名
Fish Audio
バージョン
20260917
料金
無料
オープンソース
非オープンソース
OS
Web
公式サイト
https://fish.audio/
更新日時
2026-10-06 17:54

十秒の録音があれば、その人の声を作り直せる。しかも 13 言語でしゃべらせられる。Fish Audio が最初に掲げる約束だ。自らを AI 音声プラットフォームと名乗り、音声合成、声の複製、音声認識の三本を並べ、土台には自社の S2 系モデルを置いている。

まず試したい人への答えは、料金表のいちばん左の列に書いてある。無料枠は毎月 8000 クレジットを配り、登録にカードは要らない。

Fish Audio:公式料金ページの無料・Plus・Pro 三つの比較

無料枠で何ができ、どこで止まるか

クレジットは時間に換算すると分かりやすい。8000 クレジットはおよそ 7 分の生成音声にあたる。1 回の依頼は 500 文字まで。公式の換算では、出力 1 分あたり 600 から 625 クレジットを消費する。この枠には公開ボイス枠が 3 つと、標準の生成速度も付いてくる。

そのページで二行は見直しておきたい。拡張された声の複製と商用利用は、無料の列では取り消し線が引かれている。つまりどちらも対象外だ。公式のよくある質問も言葉で同じことを書いている。無料枠の出力は個人の非商用プロジェクト向けで、それ以外は上位プランが必要だと。収益を生む内容に音声を載せる予定なら、書き出しの段になって気づくのではなく、早い段階で見込んでおくべきだ。

十秒の音声から声を作る

Fish Audio:公式ページでは十秒のサンプルで複製が済むと説明されている

声の複製は、この製品がいちばん強く押し出す機能だ。ページの書き方は「十秒のサンプルで足りる」。短い参照録音を放り込めば、数秒で使える声が返ってくる。モデル訓練の順番待ちはない。そばに三つの数字が並ぶ。ストリーミングの遅延は 300 ミリ秒未満。一度複製すれば言語をまたいで使え、公式の言い方では 13 言語をゼロショットで覆う。言語ごとに別のモデルを用意したり、録音し直したりする必要はない。

もう一点は切り離して書いておきたい。S2 モデル自体がオープンソースで、自分で動かす運用が公式に用意されている。プライバシーに敏感な仕事や、手元の環境で回したい人にとって、これは純粋なクラウドサービスにはない選択肢だ。

感情タグ:合成音声に語り口を与える

Fish Audio:音声合成ページの例文に埋め込まれた感情タグ

音声合成を触ったことのある人なら、同じ壁に当たっている。言葉は正確だが、平板すぎる。Fish Audio の答えは、指示をテキストの中に直接入れることだった。製品ページの例文には [chuckle]、[emphasis]、[long pause] の三つが本文に埋め込まれていて、モデルは笑い、強調、間をそれに従って処理する。

こうしたタグは 60 種類を超えると公式は言い、Emotions と Special の二組に分かれる。前者は [angry]、[sad]、[whispering] のような感情の状態。後者は [laughing]、[sighing] のような、体の反応に近い印だ。ナレーションや役柄の吹き込みでは、意図を台本に打ち込むほうが、後工程で何度も調整するよりはるかに楽だ。

200 万の声、8 言語

声質を自分で作るのが面倒なら、ライブラリから選べばいい。公式の数字は 200 万を超える声で、性別、年齢、音程、エネルギー、感情、用途で絞り込め、決める前に一つずつ試聴できる。合成側の言語は 8 つと明記されている。英語、日本語、韓国語、中国語、フランス語、ドイツ語、アラビア語、スペイン語。

Fish Audio:公式サイトの S2 系プロモデルとパートナー欄

吹き替えだけではない、他の音声ツール

音声合成は製品の表玄関にすぎない。その奥に音声認識、声質変換、ボーカル分離、音声翻訳、効果音生成が並ぶ。文字起こしについては、リアルタイムの書き起こしと自動の文分割、話者ラベルとタイムスタンプに対応し、SRT、VTT、JSON で書き出せると書かれている。字幕を作ったことのある人なら分かるはずだ。この三つの形式は、全部打ち直すのか、ファイルをそのまま編集ソフトに放り込むのかの分かれ目になる。こちらの言語の広さは合成側より上で、公式には 80 言語を超える。

料金の段はどう並ぶか

Fish Audio:公式料金ページの Max と Enterprise の段

無料の上に三段ある。Plus は年 66 ドルで、250000 クレジット、およそ 200 分の生成音声、1 回あたりの上限が 15000 文字に上がり、声の設計と商用ライセンスが付く。Pro は年 450 ドルで、2000000 クレジット、およそ 1620 分、チーム席 3 つ、1 回の上限は 30000 文字。その上が Max と、見積もり次第の Enterprise で、後者は規制対応の要る組織向けに、データを残さない運用や手元への導入といった選択肢を出す。

どんな人に向くか

動画の吹き替え、オーディオブック、あるいはゲームの登場人物ぶんの声をまとめて用意するなら、入り口は短い。登録し、声を選ぶか十秒のサンプルを上げ、台本を貼り、タグを付け、書き出す。無料枠の範囲でも流れを一通り通せるので、商用ライセンスと大きな枠に金を払う価値があるかは、そのあとで決めればいい。

名指ししておくべき境界は、複製そのものだ。技術的な垣根はもう低い。だが他人の声を自分の内容に載せることは人格権と声の権利に触れる。とりわけ公人の場合が最も鋭い。公式のよくある質問もこの点に触れている。迷ったら、権利を持っている声から始めるか、ライブラリにある許諾済みの声を素直に使うのがいい。

道具は垣根を下げるが、判断は下がらない。声を写し取るのに十秒しかかからない。難しいのは、その声を写し取るべきかどうか、どこで使うべきかを決めることのほうだ。

Fish Audioダウンロード
対応OS: Web