一曲を声と伴奏に分ける、Ultimate Vocal Remover は入れてすぐ使える

要約

音源分離のモデルで曲を声と伴奏に分けるオープンソースの道具。公式のインストーラは画面、Python、PyTorch と依存をまとめて同梱していて、事前の準備が要らない。

おすすめ
ソフト名
Ultimate Vocal Remover
バージョン
5.6
料金
無料
オープンソース
オープンソース
OS
WindowsLinuxmacOS
更新日時
2026-10-06 19:04

実際に何をする道具か

Ultimate Vocal Remover のメイン画面

長い名前の奥にある仕事は素直だ。Ultimate Vocal Remover は音源分離のオープンソースの道具で、一曲を声と伴奏に分ける。あるいは声だけを消して伴奏を残す。歌ってみた、リミックス、二次創作をする人にとっては、最初に必ず通る下準備になる。

最も目を引く性質は、入れてすぐ動くことだ。公式のインストーラは画面、Python、PyTorch、その他の依存をまとめて同梱していて、前提を別に用意する必要はないと説明に明記されている。落として入れて、そのまま使える。

公式の説明は、進んだ音源分離のモデルを使って音声ファイルから声を取り除く、というものだ。ここで効くのは「分離」であって「濾過」ではないという違いだ。ある帯域をばっさり切るのではなく、どの成分が声でどの成分が伴奏かをモデルが判断し、それぞれを独立した音の筋として組み直す。

パッケージに入っているモデルの大半はプロジェクト自身の成果だ。Demucs の四本の筋のモデルを除けば、同梱されるモデルはすべて UVR の中核の開発者が学習させたものだと公式は説明している。つまり、入れたあとに画面から選べるモデルの出どころははっきりしている。他人の曲を扱う道具としては、これは脇に置けない点だ。

ついでに付いてくる道具

標準の分離以外に、付随する道具も入っている。時間の伸縮と音程の変更で、どちらも Rubber Band というライブラリに頼る。wav 以外の形式の音声を扱うには FFmpeg が要る。公式は「実行ファイルをアプリのディレクトリに直接置く」という入れない使い方も示していて、環境変数をいじりたくない人には向いている。

三つの環境での入れ方

Windows、macOS、Linux それぞれの入れ方

Windows はインストーラを落とす。Windows 10 以降が要り、しかも C ドライブに入れなければならない。別のドライブに入れると不安定になると公式がわざわざ注意している。AMD Radeon や Intel Arc のカードなら DirectML 版に替えられるが、AMD のカードへの対応は今のところ限られていると公式も認めている。

macOS は Big Sur 以降が要り、M1 と Intel で別々に落とす。M1 の MPS 加速は Demucs v4 と MDX-Net のモデル全部に広がったと公式は述べていて、初回の起動には 5 から 10 分かかることがある。

Linux は手作業の道が示されている。Debian 系と Arch 系の配布版に向けて、まず FFmpeg、Python のパッケージ管理の仕組み、tk の部品を入れ、次に仮想環境を作って依存を入れ、最後にスクリプトとして起動する。

ハードウェアの下限と依存

公式の求めるハードウェアと依存

カードの話はこの種の道具が避けられないところだ。示されている下限は Nvidia GTX 1060 の 6GB で、8GB 以上が勧められている。対応するのは 64 ビットの環境だけ。変換の所要時間はハードウェアに大きく左右されると公式も添えていて、分離のモデルそのものが計算の重い負荷だからだ。

専用のカードが無くても動くが、心づもりは要る。CPU で回すと、分離にかかる時間は音声そのものの長さより明らかに長くなる。堅実なのは、短い音声で一度最後まで流し、設定が合っていると確かめてから、アルバム一枚を処理することだ。いきなり長い素材から始めると、待ち時間だけが残る。

ライセンスは MIT

公式の横長の画像

コードは MIT で公開されている。公式は第三者向けに一言足している。これらのモデルを自分のアプリに入れるなら、MIT の流儀に沿って UVR とその開発者を明記してほしい、という趣旨だ。緩い許諾とモデルの出どころの明確さが、同種の閉じた道具より長期の流れに置きやすい理由になる。

もう一つ小さな安心がある。アプリは閉じるときに設定を覚えるので、起動のたびに組み直す手間がない。

どんな人に向くか

たまに一曲の伴奏が欲しいだけなら、ブラウザで動く道具で足りる。だがまとまった数のファイルを扱う、モデルを入れ替えて聴き比べる、音声を他人のサーバーに上げたくない、といった条件が付くなら、手元で動く道具の値打ちが出てくる。一度入れれば、そのあとの分離はすべて自分のマシンの上で終わる。

念のため書いておく。分離の質はモデルと素材に大きく左右され、これらのモデルは計算が重いと公式も認めている。押せば完璧な成果が出る道具ではなく、下準備の最初の一手として見るほうが合っている。分けたあとの音の筋は、たいてい音声編集の道具で一巡の手直しが要る。

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対応OS: Windows Linux macOS