DeepL は書類をレイアウトごと訳す、無料版は月 5 万字まで
要約
AI 翻訳サービスで、ウェブ版は月あたりの文字数の範囲で無料。いちばん強いのは書類の翻訳で、Word、PDF、PowerPoint も元のレイアウトを保ったまま訳文が返る。
おすすめ- ソフト名
- DeepL
- バージョン
- 20260917
- オープンソース
- 非オープンソース
- OS
- WebWindowsmacOSiOSAndroid
- 公式サイト
- https://www.deepl.com/
- 更新日時
- 2026-10-06 17:41
四つの製品群、そのうち大半の人が触れるのは一つ

DeepL は AI 翻訳サービスで、公式はこれを四つの製品に分けている。翻訳ツール、API、文章作成の補助である DeepL Write、会話翻訳の DeepL Voice である。日常で使うのはたいてい最初の一つ、無料のウェブ版翻訳ツールだ。文章を貼り付けるかファイルを送れば訳文が返る。その周りに Windows と macOS のデスクトップ版、スマートフォン向けアプリ、そして選択した箇所をその場で訳すブラウザ拡張があり、既存の作業の流れに組み込める。
文章:貼れば訳す、デスクトップ版はその場で訳す
ウェブ版が最も素直な入口である。左に入力すれば右に訳文が出て、言語は自動で見分けられる。公式のヘルプでは、対応する言語の間で 1000 を超える組み合わせを翻訳できると書かれている。デスクトップ版はウェブではできないことを補う。任意の文章を選んで Ctrl+C を二回押せば、その場所で訳される。ウィンドウを往復する必要はない。スマートフォンでは印刷された文字をカメラで捉えて語を取り出すこともできる。
書類はレイアウトごと戻ってくる
ここが最も過小評価される部分だ。書類を丸ごと放り込むと、訳文は元の書式と版面を保ったまま返ってくる。公式ヘルプは形式ごとに制限を並べており、その一覧は十種類を超える。Word は .docx と .doc、PowerPoint は .pptx、Excel は .xlsx、さらに PDF、素のテキスト、HTML、XLIFF、SRT 字幕、PNG と JPG の画像、IDML、XML、JSON、MIF、DITA である。

形式ごとに使える範囲はかなり違う。購読していないアカウントでも Word、PowerPoint、PDF を一枚 5MB まで翻訳できるが、Excel、素のテキスト、XLIFF は有料の契約が要る。契約書や説明書、教材のように版面を崩せない資料では、この制限のほうが訳文の出来より重い。
用語集で同じ語をそろえる
機械翻訳でつまずくのは文法よりも一貫性である。同じ語が一つの資料の中で三通りに訳されてしまう。そのために用語集がある。製品名、役職、技術用語について指定の訳し方を登録しておけば、翻訳はその表に従う。公式の料金ページには、無料の範囲では用語集を 1 つ作れて、言語の組ごとに 5 件まで用語を入れられるとある。有料の契約では用語集も件数も増え、CSV ファイルによる一括取り込みと共有にも対応する。
文章作成の補助と音声翻訳
DeepL Write は付属の文章作成ツールである。公式ヘルプによれば、文法、綴り、句読点の誤りを直し、別の言い回しを提案する。現在は 11 言語に対応する。中国語、英語の英国式と米国式、フランス語、ドイツ語、イタリア語、日本語、韓国語、ポルトガル語、ブラジル向けポルトガル語、スペイン語である。ログインしていない利用者は一度に 1,500 文字まで処理できる。
DeepL Voice は同時進行のやり取りに向く。会議向けの Voice for Meetings は Microsoft Teams、Zoom Meetings、Google Meet の中でリアルタイムの字幕を出す。公式は英語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、日本語、中国語など 40 を超える言語に対応するとしている。対面のための Voice for Conversations は端末側の音声翻訳を iOS、Android、ウェブで実現し、会議のデータはメモリ上で一時的に処理するだけで通話が終われば削除すると公式は強調する。

枠とデータ:無料でどこまで、内容はどう扱われるか
料金ページは枠について驚くほど率直だ。無料の範囲では文章の翻訳が月 50,000 文字、書類が月 1 件。有料の契約は利用者一人あたり月 300,000 文字から始まり、チーム版は 1,000,000 文字、企業版は文字数の制限がない。個人が資料を調べ、論文を読み、製品の説明を数ページ訳す程度なら無料の枠で足りる。書類を丸ごと、あるいはファイルをまとめて訳すことが日常になったら契約を考えればよい。

データについて公式は、入力した文章や送ったファイルは即時に処理され保存されない、契約者のデータはモデルの学習に使わないと説明する。DeepL は ISO/IEC 27001 と SOC 2 Type II の認証を持ち、GDPR と HIPAA に従い、本社はドイツにあるため EU の人工知能規則の適用も受ける。
公開コードではなく、公開されたクライアント
はっきり書いておくべきことがある。翻訳サービスそのものは非公開の商用サービスで、ソースコードは公開されていない。選ぶ側としては、提供元が事業を続けることに依存する点を知っておきたい。公開されているのは開発者向けの部分だ。API のクライアントライブラリは GitHub 上で MIT ライセンスとして公開され、Python、JavaScript、PHP、.NET、Java、Ruby の六つが公式に維持されている。API も無料で試せて、Developer の枠には一度きりで 100 万文字が含まれる。その上に月額の Growth と、調整可能な Enterprise API がある。
最後に実用的な注意を一つ。機械翻訳がどれだけ滑らかでも、人の校正の代わりにはならない。契約書や法律関係の書類、社外に出す文案では、訳文は素早く理解するための補助と考え、最終的な拠り所は原文に置くのがよい。
翻訳の道具が最後に変えるのは語句ではなく、外国語の文章を読もうという気持ちのほうだ。書式の整った訳文が隣にあってこそ、読む人は原文に戻る余裕を持てる。書類を丸ごと訳す機能が見た目より重いのは、そこにある。