Anki は復習の時機を計算に任せる間隔反復のカードソフト
要約
Anki は間隔反復の記憶カードを作る公開のソフトで、復習の時機を内蔵の FSRS という計算に委ねる。機器の間で合わせる無料の窓口も備え、細かい知識を長く積み上げたい学習者や受験する人に向く。
おすすめ- ソフト名
- Anki
- バージョン
- 26.09.3
- オープンソース
- オープンソース
- OS
- WindowsmacOSLinuxiOSAndroidWeb
- 更新日時
- 2026-10-16 22:48
単語を覚え、解剖の名を覚え、資格の試験に備える。こうした課題に共通するのは、細かい事実を大量に長く記憶に留めておく必要があることで、忘れるという働きは回数を重ねたからといって止まってはくれない。Anki は「いつ復習するか」を計算に委ね、記憶が緩みかけた瞬間に復習が来るようにする。
なぜ忘れるリズムに合わせて復習を組むのか
記憶の薄れ方には独自のリズムがある。覚えたばかりの内容は最初の数日で速く抜け、そのあと曲線は緩やかになる。思い出せなくなりかけたその瞬間に復習が来れば、注いだ注意ははっきりした強化に変わる。逆に、すっかり身についたところを繰り返しても得るものは乏しい。間隔反復の核はまさにここで、次に復習する時点を記憶が切れかけている位置に置き、少ない回数でより固い保持を得る。
この方法は、長く残したい細かい知識が大量にある場合によく合う。医学の用語、外国語の語彙、化学式、条文の一款。どれも一つあたりの情報は小さく、互いを論理で導ける関係にもなく、一度理解しただけでは長く残らない。頼れるのは繰り返し触れることだけだ。間隔反復はその接触を節度ある形で組み、まとめて詰め込むやり方を避ける。
カード、ノート、束がそれぞれ担うもの
最小の単位はカードだ。表に問い、裏に答えを置き、復習ではまず自分で思い出してから開いて照らす。カードはノートから生まれ、一つのノートが複数のカードを生むこともある。ある国の首都はどこかというノートなら、国から首都を問う形と、首都から国を問う形の両方が作れ、それぞれの進み具合は別々に記録される。
束はカードをまとめるためのものだ。科目、教材、試験で束を分ければ、そのとき必要な範囲に絞って復習でき、題材の全体を一度に向き合わずに済む。束の下にさらに束を置いて階層にできるので、全体の復習と絞った復習の間を移りやすい。公式の例には、地理、言語、医学の束が並んでいる様子が示されている。
計算の進み方
早い時期の組み立ては SM-2 という方法に従い、一つの難しさの値から間隔を割り出していた。カードが一万を超えると、これほど粗い模型では、人によって科目ごとに覚え方が違うことを捉えきれない。そこで Anki は FSRS という、自由な間隔反復の組み立てを内蔵した。復習の履歴から、カードごとに難しさ、記憶の安定、取り出しやすさの三つを見積もり、そこから次の復習の時点を割り出す。FSRS はいまは SM-2 の代わりとして用意され、束の設定で入を切り替える必要があり、値は自分の履歴に一度合わせられる。

機器の間の同期と対応する環境
公式の AnkiWeb という窓口が、複数の機器の間でカードと復習の進みを合わせる。この窓口に費用はかからない。机の上の版は Windows、macOS、Linux に向けて提供され、Android の AnkiDroid は共同体の協力者が作り、iOS の AnkiMobile は公式のアプリで、購入の代金は企画の運営を支える。どの機器で終えた復習もほかの機器に届くので、携帯で細切れの時間にカードをめくっても、机に戻って最初からやり直す必要はない。
作り込みと追加の部品
カードの組み方と欄はどれも変えられる。表と裏がそれぞれ一つの雛形になっていて、文字、画像、音、映像を入れられる。復習の時間の組み方も調整でき、一日に新しく入れるカードの枚数や一日の上限といった値も動かせる。追加の部品はさらに外へ広げ、共同体が作ったものが統計の報告、まとめての編集、自動の同期といった隙間を埋める。

企画と、手入れを担う人
Anki は公開の企画で、コードは誰でも見られる。長い間、作者の Damien Elmes が一人で開発と手入れを主導し、その形が二十年近く続いた。2026 年 2 月、彼は公式の議論の場で、公開の手入れを AnkiHub の班に移すと告げた。班が開発者をまとめて日々の手入れと版の配布を引き受け、AnkiDroid の中心の担当者も加わって運営に関わるという。告げた内容には、開発と支援と決定を一人で抱える負担が長く続き、もう成り立たなくなったこと、手入れを班に渡すのは企画をより穏やかに続けるためだと、率直に書かれている。
どんな人に向くか
細かい事実を大量に長く覚えておく必要がある場面は、この仕組みから得るものがある。医学と看護を学ぶ人は解剖、薬理、臨床の要点をこれで覚え、語学を学ぶ人は語彙、文の型、発音を積み上げ、範囲が広く期間の長い資格の試験に備える人は題材をこれで覆う。使う前提は復習が途切れないことで、途切れがちになると期日を過ぎたカードが積み上がり、かえって負担になる。
項目 | 公式の情報 |
|---|---|
種類 | 間隔反復の記憶カードを作るソフト |
机の上の版 | 26.09.3 |
対応する環境 | Windows、macOS、Linux、iOS、Android、ブラウザ |
計算 | FSRS を内蔵、旧い SM-2 も残る |
同期の窓口 | AnkiWeb、無料で提供 |
ライセンス | 公開の形で配布、iOS のアプリは有料 |
カードの雛形から組み立ての計算まで、Anki は長く覚えることを二つに分ける。自由に組める中身と、復習の時点を代わりに計算する仕組みだ。使う側がすることは、一日に一度開くことだけになる。