証明写真の後処理を一度の実行にまとめる LiYing、背景の差し替えから印画紙の面付けまで手元で
要約
証明写真を扱う写真館向けの自動化プログラム。顔を見つけ、傾きを正し、背景を赤、青、白へ差し替え、規格のサイズに切り出して印画紙へ並べるまでを、すべて手元の機械の上で行う。
おすすめ- ソフト名
- LiYing
- バージョン
- 3.3
- 料金
- 無料
- オープンソース
- オープンソース
- OS
- WindowsLinux
- 更新日時
- 2026-10-10 12:01
条件を満たす一人だけの証明写真を渡せば、顔の検出、傾きの補正、背景の差し替え、サイズの切り出し、印画紙への並べまでが一続きになり、すべて手元の機械の上で終わる。
証明写真を撮る写真館の後処理は、ほぼ決まった流れになっている。傾いた人物をまず正し、次に背景を赤、青、白へ差し替え、1 インチか 2 インチに切り出し、最後に 5 インチや 6 インチの印画紙へ 3×3 や 2×2 に並べ、切り取り線を入れてプリントへ回す。1 枚だけなら難しくはない。困るのは、同じ手順を毎日繰り返すことだ。
LiYing は開発者 aoguai が書いた自動化のプログラムで、この流れ全体を手元の機械へ移す。GitHub で AGPL-3.0 のライセンスのもとに公開されており、リポジトリには、両親の写真館の負担を軽くするために始めたと書かれている。扱うのは証明写真なので、入力には決まった条件を満たす一人だけの肖像写真が要る。
六つの手順を一本の流れに
公式の流れは六つの手順に分かれている。画像の読み込み、傾きの自動判定と補正、肌の美化、背景の差し替え、サイズの調整、自動のレイアウトだ。検出は二つのモデルが組んで受け持つ。YOLOv8n-pose が体の位置を、YuNet が顔の特徴点を見つけ、両者でその写真の構図が使えるかどうかを決める。傾きの補正はこの特徴点の上に成り立つ。肩と目の傾きが計算できれば、画像全体が正しい向きに回り、補助線を手で引く必要はない。
背景を何色にするかは、人物の切り分けモデルが決める
差し替えには RMBG 系の人物切り分けモデルを使い、1.4 と 2.0 の両方が対象に入る。切り分けた人物は任意の RGB の色の上に重ねられる。赤、青、白、そして証明書でよく使う濃い色は色の設定に書き込まれており、別の色が要るときはチャネルの値を入れれば済む。透明なチャネルを持つ結果も出せるので、そのあと別の画像ソフトで仕上げる場合、切り抜きをやり直す手間が省ける。
肌の美化は --skin-retouch の切り替えで制御し、既定ではなめらかさ 0.7、明るさ 0.8 で、どちらも別々に調整できる。下の比較では左が元の画像、右が既定の値で処理した結果で、顔の光沢も質感も残っている。

サイズは設定ファイルに置く
切り出しのサイズはコードに固定せず、data ディレクトリの CSV に置いてある。中国語と英語で一つずつ用意されている。よく使う規格はほぼそろっており、1 インチ、2 インチ、小さめの 1 インチ、小さめの 2 インチ、パスポート、ビザはそのまま選べ、足りないときは雛形に一行足せばよい。切り出しは単なる拡大縮小ではない。人物の位置と比率を規格に合わせて保つ必要があり、構図は顔の大きさと頭上余白の二つの値で微調整する。前者は顔が画面のどれだけを占めるかを、後者は顔がどれだけ下がるかを決める。

一枚の印画紙を埋める
レイアウトの手順で省ける手作業は大きい。処理の終わった一枚ずつが、指定した行と列で印画紙に並ぶ。1 インチは 3×3 で 5 インチへ、2 インチは 2×2 で 5 インチへ、1 インチは 4×2 で 6 インチへ、行と列の数は自分で決められる。写真どうしの間隔や、まとまり全体の印画紙の上の位置も変えられ、位置には左上から右下まで九つの基準点があるので、二つの並べ方を一度に一つの紙へ収めて余白も使える。切り取り線は入り切りでき、印刷したら線に沿って切るだけだ。


三つの使い方、どれも手元で
Windows では一式のパッケージが使え、中に Python の実行環境が入っていて、画面は手元のアドレスで開いて操作する。命令の列で使う版は値の指定が細かく、自分で書いたバッチ処理に組み込むのに向く。Docker での配置は、ポートの対応、モデルのディレクトリの割り当て、グラフィックカードの受け渡しまで構成ファイルに書かれており、電源を入れっぱなしの機械に向く。処理の間はネットにつながず、客の写真がこの機械の外へ出ない。一日に百枚の肖像を扱う店にとってはここが大きい。グラフィックカードによる加速は任意で、CUDA と cuDNN を入れておけばそちらで計算し、カードがなくても止まらずプロセッサへ戻る。
使い始める前に知っておくこと
モデルのファイルはプログラムに付いてこない。別に取ってきて決められたディレクトリへ置く必要があり、最初の設定では避けられない。検出や切り抜きの結果は写真そのものにも左右され、作者は説明の資料にはっきり書いている。このプロジェクトが対象にするのは証明写真の処理で、入力は決まった条件を満たす一人だけの肖像であるべきであり、込み入った背景や複数人の写真で思わぬ結果になるのは当然だという。一部の写真で誤りが出るという報告もあり、サイズと背景色の組み合わせを変えればたいていは通る。
ライセンスについて
AGPL-3.0 はよくある緩いライセンスより一歩踏み込む。改変した版をネットのサービスとして他人に提供する場合、変えた部分も AGPL のやり方でソースを公開しなければならない。自分の店で写真を処理するだけなら、この条件にはかからない。
検出、補正、背景の差し替えから切り出しと面付けまで、LiYing は証明写真の後処理にある繰り返しの動作を一度の実行にまとめ、処理はすべて手元で終わる。撮影を解決するわけでも、細かな仕上げをするわけでもない。変わらない部分だけを引き受ける。